ごはん党のわたしだからこそ・・・

 

もともとご飯党のわたし。

 

パンがすごく好きなわけでもなく、

趣味でパンを焼いていたわけでもなく・・・

 

そんな私が焼き始めたきっかけは、

離乳食中の1歳になった長女が、パンを食べたがり、

パンを見ては、『タン!タン!』と欲しがりました。

 

しかし、娘は、強いアレルギーがあり、

卵・乳製品・鶏肉・牛肉など食べるとすぐに皮膚に反応が出て、

ひどく痒がり血が出るほど掻きむしるのです。


その当時、私の住んでいる大月市周辺には、天然酵母パン屋どころか、

パン屋さんも数件しかなく、私の求めているパンを焼くお店はありませんでした。

 

そして、意を決し娘のためにパンを焼き始めました。

 

もともと自然派志向の私は、

『どうぜ作るなら、酵母にも材料にもこだわって、パンを焼きたい!

たまに、食べるパンなら、美味しいパンが食べたい。』

と思い立ち、独学でレーズン酵母と向き合う日々が始まりました。

 

 

それから11年(2017年現在)その想いは、今も変わりはありません。

しかし、振り返れば、いつも上へ上へ、もっともっとと走り続け、さらに深く深くパンを追い求めて、着地点のない道を突き進んでいたのかもしれません。

 

パンを学ぶ生徒さんたちには、『自分らしさ』を一番に伝えていたのに、それを一番分かっていなかったのが私でした。いつも『一番じゃなきゃいけない。』って自分で自分に荷を貸せ、もっともっととパンを売ろうと無理もしていました。それでもパンが売れればいいけれど、売り上げが日々下がり、その数字ばかりを追いかけるようになり、いつの間にか大切なものを忘れていってしまいました。

 

実店舗オープンから3年目。年々下がり続く売上。それに反して、年々評判になるパン。

『上手いパン=売上』に結びつかない日々に苦悩する日々。

 

そんな中、何度か山食パンやクロワッサンに強い酸味が出て、売り物にならない日が続きました。

もう、今までどうやってパンを焼いていたのかも分からなくなり、落ち込んでいた時、友人からの苦言、

『お客様を見ていないじゃん!パンを見ていないじゃん!』そう言われ・・・ショック!

その時、追い求めていたものがお店を構えるようになり、変化していったことにようやく気付いたのです。

 

これからは、売上は、もちろんあった方がいいけれど、そればかりを気にするのは、止めよう。

そして、一番じゃなくていいんだ。私らしい、『これがトゥルシーのパンです。』って言えるパンでいいんだ。って。

一番を目指すとそこにいつもライバルが現れ、そのライバルを超えたと思うと、次のライバルが現れる。

そこにゴールはなく、いつも走り続けていた。

いつの間にか、昨日より今日、今日より明日、頑張るのは、当然。出来てあたり前。

 

そんな自分をつくり、それに必死についてく『わたし』

目的を達成しても、出来たあたり前だから誉めてなんてくれない。目的を達成した時点で次の目標がそこには、あるだけ・・・。

必死で今までそんな『自分』に『わたし』が付いて行っていたことに気が付き、それを知ったときに自分は、涙をながし、わたしは、悦びました。

 

それに気が付いてからは、

もともの性格として、頑張るって達成感を持つ事が好きなんだな~。とただ、今までみたく頑張りすぎないこと。と今までを改め、私の生活の中で『力(ちから)』の入れどころに差をつけるようにしようと思いました。 

 

そう思ったら、すごく楽になって、毎日楽しく過ごすことができて、パンも自分の納得のいく美味しさで焼けるようになり、お客様ともいろいろなお話をしながらお店を営業することが出来るようになりました。

 

酵母が教えてくれたいた、『パンを見ていないと酸っぱくなるよ~』って。

お客様が教えてくれていた、『トゥルシーさんがあって良かった』って。

 

本当は、トゥルシーは、たくさんたくさんお客様に愛されていて、私もたくさんお客様に救われていたんだと。

 

今更ですが、本当に本当にこころからありがとう♪

 

 

私たち家族の糧は、お客様と酵母に支えられていると今は、感謝の気持ちでいっぱいです。

こんな私たちですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

 

 

 

 

ブーランジェ(パン職人)は、『生きものを扱う職業』

『酵母と材料』のところでもお話していますが、心に強く感じた言葉

 

ブーランジェ(パン職人)は、『生きものを扱う職業』

 

酵母は、生きていて耐えず変化します。

『小さき者』『弱き者』『声なき者』から発せられる言葉を汲み取り、刻々と変化する状態を見極めながら次の作業を進めてきます。

その作業は、職人のような厳しい目でもあるような、優しくも大きな母のような眼差しでもあります。

 

そうしなら、たっぷり愛情を注ぎこまれた酵母たちは、中種→パンへと変体しながら、最後に私たちの命へと繋がれていきます。

 

酵母の命を感じ、

それを尊重し仕事ととする事がブーランジェなんじゃないかと・・・

 

 

作り始めたときには、

『酵母=生きもの』とは、全然感じられず、

ただパンの出来栄えだけを気にしていたように思います。

 

それがその言葉を知ってからは、『この子たちは、生きているんだ』と感じられるようになり、

一生懸命発酵し仲間を増やし、ガスを発生させて ”がんばって”がんばって” 最後に焼天(昇天)するんだな~。っと思うと、愛おしくなってきます。

 

 

その子たちの命をいただくからこそ、『心もお腹も満たすパンを焼く。』です。

 

毎回、焼くたびにそれが達成できているのか?自問自答の日々ですが・・・

私らしいパンを探求し前進しながら、日々パンを焼いています。

 

 

 

パンは、できるだけシンプルに・・・

 

焼き上がったパンを完成させるのは、お客さま

 

甘さが欲しいと思うならジャムやクリームを塗って、

食事系で食べたいならおかずをサンドしたりトーストしてバターを塗ったり・・・

私のところから出発したパンたちは、皆さまのところで完成されます。

 

温めるだけでも、ぐっと美味しくお召し上がれます。

どうぞ、あなただけのパンを楽しんでください。

 

 


 

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